大坂の陣・落城記念~大阪城の怖い話
慶長二十年(1615年)5月8日、大坂城が炎に包まれ落城し、豊臣秀頼・淀殿母子が自刃・・・ここに豊臣家は滅亡し、冬と夏の二度に渡った「大坂の陣」は終結しました。
・・・・・・・・・・
・・・と、大阪城の近くで生まれ育ち、今も昔も大阪城大好き少女(今は少女ではない(^-^;)の茶々としては、これまで、大阪城の事をいっぱい書いて来ましたが、そんなこんなの歴史上の事は、以前のページでご確認いただくとして・・・
●【大坂の陣の年表】からどうぞ>>
本日は、ちょっと趣向を変えて、大阪城に伝わる怖い話を・・・
と言いますのも、以前も、そんな秀吉の怨霊ガラミなお話で、大阪城のたどった歴史を書かせていただいたのですが(「秀吉の怨念?大阪城の不思議な話」参照>>)、
古くは、初代天皇となった神武天皇が上陸を果たした(以前は現在の大手門のあたりに生國魂神社がありました)後、しばらくして本願寺の本拠として人が集まり(8月2日参照>>)、豊臣秀吉を経て徳川家康の手に渡り(1月23日参照>>)、徳川300年の後に戊辰戦争によって明治新政府へと引き継がれ(1月9日参照>>)、その後は第2次世界大戦が終了するまで、東洋一とうたわれた軍事施設(6月7日参照>>)だった大阪城・・・
日本の歴史の転換期の度に戦場となった大阪城ですが、なぜか、怨霊的なお話は豊臣が多いのです。
豊臣大坂城好きの茶々としては、そこに、「いかに徳川家がムリヤリ豊臣家をぶっ潰した感があったか」てな事を妄想してしまうのですが・・・
とにもかくにも、落城記念という事で、今なお大阪城に伝わる怖いお話のいくつかをご紹介させていただきます。
・‥…━━━☆
①奥座敷の宴会
大坂の陣で豊臣家が滅び、すっかり徳川の世となった後も、その噂は絶えませんでした。
「城内では、人気のない奥座敷から、夜な夜な酒盛りの音が聞こえて来る」
と・・・
「おのれ!亡霊め!成敗してやる!」
とばかりに、ある時、未だ血気盛んな若い家臣が、夜の更けるのを待って、奥座敷の方へと向かいました。
ぬき足さし足で近づいて行くと・・・なるほど、噂通りにざわざわと酒宴の音らしき物が聞こえてきます。
しかも、人の声だけではなく、何やら管弦の音まで・・・
息を殺して勇気を振り絞り、若者はガバッと襖を開けます。
すると、座敷の向こうにぼんやりと・・・この世のものとは思えぬ美しいうちかけを身にまとった女性を囲んで、何人かが宴会の真っ最中!
「亡霊め!」
大きく声を挙げた若者が、その声と同時に近づくと、
すかさず、輪の中にいた女性が・・・
「静かにしよし!
わらわは、淀じゃ!
今宵は、久しぶりの祝宴じゃ!」
と鬼のような形相で一喝!!
しかし、その途端、すっと表情を変え
「そなたも、もっとちこう寄れ…
わらわの盃をしんぜよう」
とニッコリ・・・
凍りつくような笑顔には、ありえないほどの妖気がこもり、一瞬にして気が遠くなり、若者は動けなくなったのだとか・・・
しばらくして我に返った時には、すでに亡霊の姿は無く、ただ、広い座敷にポツンと、若者が一人で座っていた状態だったのです。
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②陰火の舞い
陰火(いんか)とは人魂=火の玉の事・・・
現在、桜門の前のお堀は空堀となっていますが、豊臣時代の大坂城でも、このあたりに空堀があったとか・・・
で、ご存じのように、大坂の陣では数多くの豊臣の兵が討死し、その血が空堀に流れ、土にしみこんだ・・・
やがて、いつのほどからか、雨の降る夏の夜には、一つ、また一つと、恨みを残して死んだ豊臣の兵たちの怨念が火の玉となって現われ、それがピークに達する頃、城内から「ワーッ」という争乱の声が沸きあがるとか・・・
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③胎衣の松
江戸時代の大坂城は徳川の直轄となったので、城主というのは徳川将軍・・・で、その代役として、大名や旗本から、城代:1名、定番(じょうばん):2名、大番(旗本頭):2組、加番(かばん):4名が指名され、彼らが家臣を率いてやって来て大坂城に常駐していたわけですが・・・
そんな中の西大番頭の屋敷の書院の庭には、高さ一丈(約3.8m)、横十間(18m)もある大きな松があったのですが、ある時、大番頭から、その松の枝を切るように命じられた家臣が枝を切ったところ、その夜、夢に貴人が現われます。
「我こそは、大坂城主・豊臣秀頼であ~る。。。
その松のたもとには、我の胎衣(えな=胎盤)が埋めてあるぞよ~
今後は、切ってはならぬぞえ」
と告げたのです。
以来、その松を切る事は無く、お神酒を供えて大切にしたのだとか・・・(って、コレ怖いか??)
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④京橋口の幽霊屋敷
江戸時代、京橋口には定番の屋敷がありましたが、ここには古くから妖怪が住むとの噂があり、任期を全うした大名はいなかったのだとか・・・
そんな中、享保十年(1725年)に着任した足利藩主・戸田忠囿(ただその)は、これまでの代々の定番役が、着任早々、ここに稲荷のほこらを建てて鎮魂していた事を聞くのですが、
「そんな古い習慣、
俺には関係あれへん!
なんやったら、これまでの古いほこらも、全部まとめて近所の玉造神社に遷してしまえ!
屋敷に一つも残すなよ」
と強気満々のご発言・・・
案の定、すべてのほこらを移転して10日ほどたった頃・・・
家臣たちの間に、いきなりの高熱を発する病気がまん延したり、
「化物を見た!」
と恐怖におののく者が続出・・・
しかし、当の忠囿さんは落ち着いたもの・・・
逆に、その化物を退治せんとばかりに書院に引き籠ります。
やがて3日目・・・忠囿の目の前に白髪をふり乱した化物が現われます。
自らも重傷を負いながらも、何とか鎌で化物を仕留めた忠囿・・・死んだその姿は巨大な古狐だったとか・・・(って退治しとるがな!!(゚ロ゚屮)屮)
・‥…━━━☆
以上、まだまだあるのですが、残りは真夏の夜のお楽しみという事で、本日のところは、このへんで・・・
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コメント
(って、コレ恐いか??)→コレ、ウケました(笑)
でも、どれも、あんまり恐くないですよね^^(こら)
それより、天守閣が焼け落ちたまんまの城跡は、どんなにか無気味だったことでしょう。
(覆うシートもないものね^^;)
おばけの淀君や秀頼君も、愛おしく感じる私です。
投稿: 真田丸 | 2013年5月 9日 (木) 11時02分
真田丸さん、こんにちは~
おっしゃる通り…
生きてる人間のほうが、よっぽど怖いです(ノ _ _)ノ
投稿: 茶々 | 2013年5月 9日 (木) 13時08分
茶々様、こんにちは。
今回も面白いお話、ありがとうございます。
歴史も好きですが、不思議な話&怖い話はもっと好きです!
波瀾万丈の歴史ある大阪城は、なにやら沢山の逸話がありそうですね…。
私が住む東京の「江戸城」にも怖い逸話があるのかどうか、調べたくなりました(笑)
投稿: あいこ | 2013年5月 9日 (木) 18時34分
あいこさん、こんばんは~
大奥・開かずの間>>なんていかがですか?
投稿: 茶々 | 2013年5月 9日 (木) 20時12分
待ってました。
以前歴史秘話ヒストリアの「呪われた?千姫」を見た後で、大阪城の怖い話を探したのですが、カテゴリーページから「秀吉の怨念?大阪城の不思議な話」を見つけることができませんでした。
「大阪城大好きなはずの茶々様が、なぜやらないのか」と思っておりました。
リンクをこのページと一緒に載せておいてください。
真田丸様じゃないけど、焼け落ちた大仏というのもけっこう怖いかも。
投稿: りくにす | 2013年5月10日 (金) 01時28分
りくにすさん、こんばんは~
潰れて廃墟となってる遊園地も怖いですヾ(.;.;゚Д゚)ノ
あと、すンごい山奥にいきなり人工物が出現した時もドキッとします。
>「呪われた?千姫」
そう言えば、千姫に子供ができないのは秀頼の怨霊がどーのって話も、姫路城の七不思議で書かせていただきました。
「秀吉の怨念?」のページは怖い話の目次ページにリンクをつけときますデス。
投稿: 茶々 | 2013年5月10日 (金) 01時52分
茶々様、江戸城の怖い話をありがとうございました。
城と言えば「開かずの間」ですよねー(笑)
私は東京生まれの東京育ちですが、実は江戸城の怖い話は、あまり聞いたことがありません。
あれだけ長い間、徳川将軍家が住んでいたのですから山ほど逸話が出てきそうなのですが…。
封印されているのでしょうかね?
GW中に体調を崩されたそうですが大丈夫ですか?
無理なさらず、どうぞお大事になさってくださいませ。
投稿: あいこ | 2013年5月11日 (土) 00時42分
あいこさん、こんにちは~
お気づかいありがとうございますm(_ _)m
江戸城には、きっとイロイロなお話が伝わっているでしょうね。
調べてみるとおもしろそうです。
投稿: 茶々 | 2013年5月11日 (土) 13時29分
大阪城の怪奇話は沢山あるんですね。家茂さんが亡くなったのも呪い?
投稿: やぶひび | 2013年5月17日 (金) 11時53分
やぶひびさん、こんにちは~
>家茂さんが亡くなったのも…
それも言われてますね~
それも、秀頼じゃなく淀殿の呪い…
投稿: 茶々 | 2013年5月17日 (金) 13時22分