まさに神回?大河ドラマ真田丸、第35回「犬伏」の感想
いやはや・・・
あくまで、個人的な感想ではありますが…
実は、先週までは「どーした?真田丸!」と心の底では思っていて、あまりよろしくない感想を書き連ねようかと思っていた不肖茶々でありますが、
どうしてどうして、今回の「犬伏の別れ」の描き方で、心の中が一気に挽回されました~まぁ、女心と秋の空と言いますから・・・ww
もちろん、これらの感想は、あくまで個人の好みによる物です。
そもそも、万民の好みに合うドラマなど作れるはずは無いわけで、誰かに好かれれば、誰かに好かれないというのが世の常でありまして、私が悶々とした一年を過ごした昨年の大河だって、予想の斜め上をいく展開で何度もコケそうになった姫たちの妄想だって、好きな人にとっては良きドラマであったわけで、その事自体をどーのこーの言うつもりは毛頭ございません。
なんせ、逆に、私が「良かった」と思っている「清盛」は一般的には酷評なわけですので、それこそ、「好み」は人それぞれ・・・いや、むしろ、そうだからこそ、社会が成り立っているわけで・・・てな事で、あくまで個人の趣味のブログで素人が放つ個人的な感想とご理解くださいませ・・・
・‥…━━━☆
で、なぜ、ここ最近まで「どーした?真田丸!」と思っていたのかと言いますと、やはり創作のチョイスですかね~
それこそ、ドラマは創作物なので、創作が入ってるのは大いに歓迎すべき所ですが、なんか、その「創作が肌に合っていなかった」感が拭えませんでした。
主役の特権として、大きな出来事に関与しまくりなのはドラマの常としても、ちょっと関与し過ぎの感じがあるのと、緩急つけるべく、ところどころに挿入されるお笑い部分の担当者が、ほぼほぼ女性だったという事・・・
厳しい戦国の世の中で緩急つけるためには、合戦や調略に関与しない女性をお笑い担当に・・・という事なのでしょうが、おかげで、出て来る女性出て来る女性が皆、バカップルの片割れのようになってしまっていて・・・
はじめは、そのKYぶりがカワユクもあった茶々(淀)殿も打掛をはおった途端に魅力薄となり、実際には秀吉の側でその領国経営を一手に引き受けて(特に留守の時は=9月6日参照>>)いたであろうおね(寧々)様までもが現実を見据えない人となり、きりちゃんに至っては初回から邪魔ばかりするうっとぉしい女に描かれ、主人公の母の薫さんはただただ保身ばかりを気にし、奥さんの春さんまでもが思いが通らないと「キーッ」と逆上する豹変キャラとは・・・何とも悲しいです。
また、一方で、創作の挿入に関しては、歴史好きだと言われる三谷氏であるからこその難しさもあったと思います。
例えば、大坂の陣以前の史料の少なさもあってか、真田信繁(のぶしげ=幸村)が秀吉の馬廻(うままわり)という設定は、ドラマとしては今回が初めて?(すべてのドラマを見てるわけでは無いのでアレですが…)ではないかと思うのですが、それは最近発見された史料で確認された新説による物。
(秀吉なら馬廻もかなりの数いたと思いますが、ドラマで信繁一人に見えたのは役者さんの出演料という大人の事情として理解しますww)
また、あの豊臣秀次(とよとみひでつぐ=三好秀次・羽柴秀次)自刃のくだりも、秀次自ら高野山へと行き、自ら死を選んだという、これまでのドラマとは違う、今話題の新説を採用し、
あの第1次上田合戦も、ドラマ定番の原っぱでの騎馬同志のぶつかり合い合戦では無い、往年の「風雲たけし城」を思わせるようなセットでの、熱湯掛けたり、石投げたり・・・と、たぶんコッチが史実に近いんじゃないか?と、歴史好きをも唸らせる仕上がりとなってました。
なので、そこにブチ込んだ、三成による家康暗殺未遂までもが、「本当の事」のように思えてしまうという現象に・・・
もちろん、私も、その時代に生きてたわけじゃないし、すべての史料を知ってるわけでは無いので「絶対に無かった」とは、言いきれませんが、少なくとも史料として残っている一般的な見方としては、「家康を暗殺しよう」と提案する島左近に対して、「今は、その時では無い」と冷静に判断する三成のイメージです。
だって、あの時点で先に手出しちゃダメでしょ?
おかげで、私としては、ドラマの中での三成の株が大暴落しちゃった感が否めませんでした。
なのに一方では、秀吉の晩年は・・・そこは、豊臣ファンとしては、これまでに無いしっかりした秀吉さんでいてほしかったですが、結局、ドラマの定番通りに、朝鮮出兵も無謀で無茶苦茶な出兵のように言われ、哀れで老いさらばえたように描かれてましたね(つд⊂)エーン
●私個人的なイメージ
秀吉の晩年:【豊臣秀吉の遺言と徳川家康の思惑】>>
朝鮮出兵:【地球分割支配と秀吉の朝鮮出兵】>>
とは言え、それらこれらを覆して余りある見事な描き方だったのが、今回の『犬伏(いぬぶし)の別れ』・・・
ドラマの中には、父子3人で戦々恐々と作戦を練る中でケンカ別れをしたように描かれた場合もあるようですが、やはり、私としては、以前にも書かせていただいたように(7月21日参照>>)、家と血筋の存続を1番に考えた「どっちか生き残り作戦」だと思っています。
これは、真田家だけではなく、けっこう多くの武将がやってます。
以前、前田利政(まえだとしまさ)さんのご命日のページで、前田家を例に出して【「親兄弟が敵味方に分かれて戦う」という事】>>を、お話させていただきましたが、真田家、前田家以外にも、ザッと見ただけで、毛利(もうり)(9月23日参照>>)に九鬼(くき)(10月12日参照>>)に蜂須賀(はちすか)(12月30日参照>>)、生駒(いこま)に小出(こいで)に・・・と、関ヶ原本戦以外の前後も含めて、ちゃんと調べたら、たぶん、もっといるでしょう。
それだけ勝敗の行方が見て取れなかった戦いであったのでしょうが、やはり、この「どっちか生き残り作戦」は、ドラマの中の戦国武将には戦場に花と散るカッコ良さを求めてしまう現代の私たちから見れば、「二股かけた」あるいは「保険をかけた」ように見えてしまい、なんとなく、せこくてコスイ手段に思えてしまう物で、これをカッコ良く描くのは、なかなかに難しい・・・
そこを、今回の「真田丸」は見事に、感動的かつカッコ良く描いてくれはりました。
お兄ちゃん=信幸(のぶゆき)の大泉さんの「絶対に守る」の見事なセリフに、父=昌幸(まさゆき)の草刈さんが「最善の策じゃ!」と賛同するくだりは、これまで、何かややこしい事がある度に、「ワカラン」と悩んだり、昨日言った事が今日変わっていたりという優柔不断な感じだった草刈昌幸さんの態度が、このシーンへのフリだったのか?と思わせるほどの、見事なまとめ方だったと思います。
なにやら、巷では、この第35回「犬伏」は「神回」と呼ばれているとか・・・私も、もうちょっとで「どーした?真田丸!」を書くところでしたが、1週間待って良かったです。
しかも、予告編を見たところでは、どうやら来週は、あの稲姫(小松姫)の名シーン(2009年7月25日参照>>)をやってくれはるようです。
その真田の嫁のページのコメント欄でもご指摘があったように、最近の研究では、その時の稲姫は大阪城に人質になっていたはずとも言われていますが、一方では、家康が勝手に、妻子が領地に戻る事を許可していたとの話もある・・・とは言え、やはり、ドラマではやって欲しい名シーン・・・
どうするのかな?と思っていたら、
なるほど・・・細川ガラシャ(玉)さんの死(7月17日参照>>)に危険を感じた稲姫が自ら大坂城を脱出したというテイで、お父ちゃんと弟のご帰還に間に合わせるわけですね~まさに、「そう来たか」という感じ・・・これなら、「大坂城にいたはず」からの「稲姫の雄姿」にも、一応の辻褄合ってますね。
これで、今までは、怒ってばかりの稲姫も、一気に好感度アップですな~
それを匂わせる今回は、やはり「神回」でしたね。
今後の流れとしては・・・
この稲姫の逸話と同じ日に、東では家康の小山評定(おやまひょうじょう)(2012年7月25日参照>>)、伊達政宗(だてまさむね)の白石城(しろいしじょう=宮城県白石市)攻略(2015年7月25日参照>>)がありますが、その後は、いよいよ本チャンの関ヶ原に向けて・・・
(くわしくは【関ヶ原の合戦の年表】で>>)
一足早く、真田父子は、第2次上田合戦(9月7日参照>>)となりますね。
ドラマも一つの山場を迎えそうです。
楽しみですヽ(´▽`)/
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コメント
茶々さん、こんにちわ
今回の大河ドラマは日曜日の予定を調整して、見逃さないようにしています。個人的には結構面白いです。これから関が原、大阪冬、夏の陣とクライマックスに向かいますね。楽しみです。
投稿: いんちき | 2016年9月 6日 (火) 12時14分
茶々さま、こんばんは~
「真田丸」ですが、話についていけなくて、精神的にかなり前に振り落とされてしまいました^^;;;
感想はひとそれぞれなんでしょうが、今回は冒頭で稲姫もいる前で「上杉につくぞ~」とか言うのは興ざめすぎて、そこで振るい落とされてしまいました(×_×)
投稿: しまだ | 2016年9月 6日 (火) 20時30分
いんちきさん、こんばんは~
そうですね。
九度山での生活はドラマの中では長いのか?短いのか?…
でも、もう3ヶ月切ったので、早々に大坂の陣に向かうのでしょうか?
いずれにしても楽しみです。
投稿: 茶々 | 2016年9月 7日 (水) 01時45分
しまださん、こんばんは~
>今回は冒頭で稲姫もいる前で…
あっ!
それ、書き忘れてましたね~
三成の家康暗殺にしても、今回のソレにしても、たまに「??」な創作をブッ込んできたり重要事項をはしょったりしはるので、びっくりする時ありますね。
本文にも書きましたが、時々そこに新説もブッ込んできはるので、掲示板などを拝見していると、三谷氏の創作と歴史の定番とがゴチャゴチャになってる視聴者の方も多いように見受けられます。
三谷氏ご自身が、主人公を「幸村」ではなく「信繁」としたんですから、そこは慎重にいかないと…と、ちょっと気になりますね。
投稿: 茶々 | 2016年9月 7日 (水) 02時03分
茶々様、こんばんは。我が家では夫が三谷さんファンなので、夫婦で毎週楽しく見ています。
確かに秀吉とか三成とか… どうしてそんな描写にした?と思う事も無いでは無いのですが、概ね面白く見てます。三成に関しては山本くんが格好良いので許される感じですねw 昌幸や信幸、上杉主従や家康&W本多など配役と演技は素晴らしいです。女性陣の描写がちょっとね… 面白いは面白いのですが。
今回は本当に良かったですね! 特に昌幸が良かったです。息子二人が立派に成長した事への喜び、自分を越えていった事への寂しさ… 涙無しでは見られませんでした。三谷さんの事だから捻ってくるとは思ってましたが、三人の魅力満載で素晴らしいシーンだったと思います。最後まで楽しみたいです。
投稿: つらまえ | 2016年9月 7日 (水) 22時35分
つらまえさん、こんばんは~
もちろん、私も概ね面白く見てますよ。
三成のくだりは…
今回は、あくまで豊臣派が主人公のドラマなので、前田はもちろん、細川父子や浅野などなどに、家康がイチャモンつけまくったりして、もう少し悪役に徹してもらってからの、三成爆発が良かったかなぁ~なんて少し思います。
犬伏の別れを「真田を残す最善の策」として描いてくださったのは、ホント良かったです。
投稿: 茶々 | 2016年9月 8日 (木) 02時43分
こんにちは。いつも楽しみに拝読させてもらってます。「犬伏」はラストに向かっての引き締め直しとして良い回でした。今日の放映楽しみです。ちなみに…私も「清盛」好きでした…
投稿: コーイチ | 2016年9月11日 (日) 13時28分
コーイチさん、こんばんは~
そうですね。
関ヶ原が終われば、しばらくの間おとなしくしとかないといけないので、「一時休止の前のクライマックス」という感じでしたね。
今後も期待したいです。
投稿: 茶々 | 2016年9月12日 (月) 02時07分
NHKの大河ドラマ「真田丸」の新説の解釈、どうもピンとこないもの感じますが、それにしても、真田信繁が秀吉の馬回り役という設定は、驚きますね。私も相当に歴史物には詳しいのですが、はて・・・と感じつつ時折観てます。のめりこんで観てないのは、やはり史実の扱い方に若干違和感があるということですかね。
投稿: 根保孝栄・石塚邦男 | 2016年9月18日 (日) 04時18分
「関ヶ原」のシーンを期待していた人たちも
いたようですね。
九度山で謹慎生活は、割と平和だったと
思います。貧乏で、お金や酒を無心しているけど、信繁の子供たちも生まれていますし。
投稿: やぶひひ | 2016年9月18日 (日) 18時20分
根保孝栄・石塚邦男さん、こんばんは~
>真田信繁が秀吉の馬回り役という設定は…
『大鋒院殿御事蹟稿』に「秀吉の馬回り」の記述があって、近年はこの説が注目されているので、今回は、その設定になったのでしょうね。
投稿: 茶々 | 2016年9月19日 (月) 02時24分
やぶひひさん、こんばんは~
おっしゃる通り、貧乏だったでしょうけど、家族としては平穏な時だったでしょうね。
武将として、思う所はあったかも知れませんが…
投稿: 茶々 | 2016年9月19日 (月) 02時25分
色々言われておりますが、真田丸の女性たちの描写は個人的には好きです。
…ご気分を害するようでしたらすみません。
私自身が、デキが悪いくせに(だからこそか?)ブラックな心があり、軽率に行動して失敗ばかり…。そのくせ怒ると周囲など構わずにモノに当たる、という性格なためか、意志が強く真面目・良妻賢母・清楚可憐な女性達ばかりの大河を見ていると
「そうじゃないだろう。現実の女ってのは…。大体10人中3人くらいは残念な女子がいるはずだろう。せめて一人くらいは出してよ!!ただし花燃ゆのヒロインのような主役補正のない役所で。」
と、常々もどかしく思っていたんです。
それが真田丸では残念女子のオンパレード。
彼女たちを「そういう個性」と諦めて流す反面、ウザがるまわりの人達のリアクションも含めて
「これこれこれだよー!これが現実だよ!よくやってくれた!!」
と拍手喝采しております。
投稿: ヤマアラシ | 2016年10月 6日 (木) 02時15分
ヤマアラシさん、こんばんは~
お気持ちはわかります。
ただ、あまりに残念な女性のオンパレードなので、個人的には、逆に「一人くらいちゃんとした人を…」と、思ってる感じですが、ドラマをおもしろくする為には緩急入れねばならず、女性が緩い部分の担当になるのは、致し方無いかもです。
ただ、近年の研究では
「女性は家を守るもの」「女性には勉学より家事」みたいな考えになるのは、儒教が重んじられるようになる江戸時代以降からで、戦国時代は、日本史上最も女性が強く、現代より男女同権だったと言われているので、多分、残念な女性の割合は、平成の今より少ないんじゃないか?と想像します。
まして、武家のお嬢様は、それなりの教育を受けていらっしゃるので、現在の皇室の方々がそうであるように、感情を表に出さない…
たとえば、「側室にヤキモチを焼かない」のではなく「ヤキモチを焼いてる事を他人に見せない」という風に思いますが、ドラマでそれは表現し難いので、あんな感じも仕方ないし、見ている側はわかりやすいかと思います。
投稿: 茶々 | 2016年10月 6日 (木) 18時34分