七夕と雨にまつわる伝説~脚布奪い星と催涙雨
今日、7月7日は七夕ですね。。。
ご存知の七夕の伝説は・・・
「天帝の娘・織女が天の川のほとりで、毎日まじめに機織をする姿を見て、川の西に住むこれまたまじめな牽牛と結婚させた所、恋にうつつをぬかし、まったく機織をしなくなってしまったため、怒った天帝が織女を川の東に連れ戻し、年に一度の七夕の夜にだけ会う事を許した」
という織女(しょくじょ)と牽牛(けんぎゅう)の お話です。
もともとは中国のお話で、日本には奈良時代頃に伝わり、もともとから日本にあった伝説と相まって今に至り、一般的に織女を織姫(おりひめ)、牽牛を彦星(ひこぼし)と呼んだりします。
このお話のおおもとは、天の川を挟んでいる「こと座」の「ベガ」と「わし座」の「アルタイル」という星が、この7月7日頃に最も美しく見えるところから生まれた伝説ですが、残念ながら現在の日本(新暦なので…)では、この7月7日が梅雨(つゆ)の季節である事から、雨になる事が多く「雨になると二人は会えない」という悲しい結果となり、この7月7日の降る雨の事を催涙雨(さいるいう)・・・つまり、「会う事ができずに悲しむ、織姫と彦星の涙なんだ」なんて言われたりもします。
ロマンチックですね~
ロマンチックついでに、この7月7日の前日に降る雨の事は洗車雨(せんしゃう)と呼ばれ、
「せっかく洗車したのに雨降ったやないかい!」
とお父さんがお怒り・・・ではなく、
雨で埃を洗い流したキレイな牛車で、彦星が織姫を迎えに行く・・・という美しい光景が展開されるとか・・・
てな事で、本日は、七夕と雨にまつわる昔話を…
主に、四国&中国地方に伝わる『脚布奪い星』(きゃふばいぼし)というお話です。
・‥…━━━☆
その昔、織姫は、7月7日に雨が降ると彦星に会えなくなってしまうので、何とか雨を降らさないよう、天に住むたくさんの天女たちに頼み込みました。
もちろん、タダで・・・というワケにはいきません。
地獄の沙汰も・・・いや、天国だって金しだい(なのか?)
・・・で、織姫は、自らの機織りのウデを活かして、その天女たち一人一人に
「脚布(きゃふ=腰巻の事)を織って7月7日までに届ける」
という約束をします。
あれ、うれしや!これから毎年7月7日には新品の勝負下着で過ごせるやないの!
と天女たちも、その約束を快諾。。。
それから、織姫は一所懸命、寝る間も惜しんで機織りにあけくれましたが、どうしても1枚だけ、天女の数に足らないまま7月7日を迎えてしまいます。
そんな事は知らない天女たち・・・
7月7日になって、天の川で水浴びをしていた二人の天女たちのうちの一人が、水からあがってサッサァ~と脚布を取ろうとしたところ、少し遅れたもう一人が
「いやん、ソレ、私にチョーダイよ~」
腰巻無いと、あがれませんから・・・
「アカンて!コレ、私のやんか~」
とケンカになってしまいます。
結局、この日、少し遅れて脚布を手にできなかった天女・・・彼女は、雨を降らす役目のお星様だったのです。
脚布が手に入らなかった天女はウェ~ンと泣き続けて、その涙が雨となり、残念ながら、この日の夜は雨が、それも、いつもの倍の量が降りました。
以来、雨降らし役の天女が脚布を手にできた年は晴れ、手にできなかった年には雨が降るのだとか・・・もちろん、雨が降った日は、織姫&彦星の年に一度の逢瀬イベントも雨天中止となってしまう事になります。
この脚布を奪い合う天女の星は、ちゃんと天の川のそばに見えているのですよ。
・‥…━━━☆
というお話です。
この話に登場する脚布を奪い合う二人の天女の星は、「さそり座」の「μ(ミュー)」と「ζ(ゼータ)」の事だそうで、二つ並んでまたたく小さな星が、いかにも天女らしく肉眼でも見えるのだそうです(茶々は乱視なので見えません)。
に、しても、昔は星が綺麗に見えたんだろうなぁ~ という事と、その星の位置や動きに、ステキな、あるいはオモシロイ様々なお話を、昔の人は考えだしていたんだなぁ~ とつくづく・・・
今夜は、令和初の七夕の夜・・・
美しいハーモニーを奏でる時代を思いつつ、星に願いをかけましょう!
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