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2020年2月25日 (火)

大河ドラマ『麒麟がくる』第6回「三好長慶襲撃計画」の感想

 

大河ドラマ『麒麟がくる』第6回「三好長慶襲撃計画」・・・

真っ赤な紅葉のじゅうたんの中の手に汗握るチャンバラ三昧は、なかなか良かったです。

ただ・・・
主人公=光秀が中央政府に絡みまくり!~どころか、三好長慶(みよしながよし)の命の恩人になっちゃいましたよ~

しかも、2日間に渡って生死を彷徨うような重症を負っている恩人に対して、
「ほな送って行ったって」
の一言で、応急処置もせずに屋敷から追い出し、マチャアキ医師の所まで送るはずだった案内人は途中でどっか行ってしまい、曰く
「私の家の前で倒れてたんです」
↑んな、アホな!

しかも、その後、マチャアキ医師の自宅で養生する光秀のもとに藤孝が見舞いに来て、
「感謝感激雨霰」お礼の言葉に
「お前はスゴイ」の持ち上げに
挙句の果てに「いっしょにやろう」って将軍配下に誘っちゃう・・・

そんな重要人物なら、その場で手当てしてやれ~
ヘタすりゃ、あのまま死んでたかもワカランのに・・・

「美濃でせねばならぬ事がある」と光秀が断るから良いものの・・・なんか不思議。

なんらなら、この時点で、ここまで将軍や細川や三好に絡みまくりで、ここまでスゴイ人物なら、このまま将軍に仕えちゃっても良いような気がして来た(笑)
どうせ前半生は謎なんですから・・・

とまぁ、今回はちょっとツッコミ入れさせていただきましたが、おおむね楽しんで拝見させていただいております。

なので、あくまで個人的な好みの問題なのですが・・・
私としては、やはり光秀の前半生は謎であってほしいと思うのです。

もちろん、ドラマですから、視聴者側には、何をやってるか?どう生きているか?というのは描く必要ありますが、あくまで、それは水面下の出来事で、将軍はもちろん、実在の有名人に絡む事無く、むしろ遠くから、その様子を見ていて
「いつか、俺ものし上がってやる!」
的な夢を抱いている方が、個人的には良かったかな?

そもそも、光秀はその出自も曖昧です。
以前、【光安自刃で明智城落城~明智光秀は脱出?】のページ>>で、光秀は、自らの妹=小見の方(おみのかた)斎藤道三(さいとうどうさん)に嫁がせて、道三の傘下に入っていた明智光綱(あけちみつつな)の息子で、早くに父を亡くした事から叔父(光綱の弟)明智光安(みつやす) 、その後見人となって・・・と書かせていただきましたが、そのページにもあるように、それは江戸時代に成立した軍記物のお話です。

だいたい、光秀が明智の嫡流で道三の家臣なら、もうちょっと古文書等に出てきていても不思議じゃないです。

また、ご本人が本能寺の1年前に定めた有名な『家中軍法』にある、
「瓦礫沈淪(がれきちんりん=かわらや小石のごとく沈んでいた境遇)のような低い身分の自分を信長様が取り立ててくれて、膨大な軍勢や重要な任務を任されるようになった」
という内容とも、辻褄が合いません。

光秀が、土岐(とき)一族の庶流の明智の嫡流なら、斯波(しば)氏の陪臣(ばいしん=家臣の家臣)である織田信長(おだのぶなが)の家系には勝るとも劣らぬ血筋・・・少なくとも瓦礫沈淪ではないです。

私としては、おそらく血筋もさほど良くない無名の人物が、いきなり歴史上に登場した時に、すでに一流の兵法を身につけていて、鉄砲を自在に操り、オシャレな京言葉を話し、都会的で世間の状勢にもくわしく、頭も良い即戦力で登場して来るところがオモシロイと思っているのです。

そんな人材がいきなり現れたからこそ、信長は大いに気に入ったわけで・・・

しかも、そんな感じの途中採用でありながら、父の代からの譜代の家臣である柴田勝家しばたかついえ)や、光秀より10年以上先輩である木下藤吉郎(きのしたとうきちろう=豊臣秀吉)らを追い越し、織田家内で最初の城持ち大名となるような出世を果たすというところも私的にはオモシロイ・・・

もちろん、そのためには無名時代にかなりの修行というか鍛錬というかをやってないといけないわけで・・・そのあたりのところにスポットを当てて描いていく感じが良かったかな?
とも、思うのですが、やはりドラマですから、それなりに大物との絡みが無いと、実際にはつまらないドラマになるのかも知れません。

とにもかくにも、相変わらず、物語の進むスピードが遅い。。。結局、今回も、わずか半年ほどの出来事に一回分の時間を費やされたわけですが、それもこれも、例のあの方の撮影分が10話ほどあったという事なので、その10話に到達するまでは、色々と時間調整や何やらがあるのかも・・・所詮、奥さんになるわけではない駒とのラブラブ一夜も、そんな時間調整の苦肉の策なのかも知れません。

にしても、おそらくこの頃は、何かあると近江に逃げていた将軍=義輝に、光秀君はズゴイ演説をブッこいて多大な期待していたけど、それよりも、もう少し、長慶と細川晴元&将軍家のアレコレをやっていただきたかったかな?

とは言え、連歌の会や能の場面など、美しい画面が展開される今年の大河は、おおむね楽しく見ています。
来週にも期待!
.

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コメント

茶々さん、おはようございます。

川口帰蝶、良いですねぇ。
役にハマってるって言うんでしょうか。
まだ子供ような背伸びをしてる女の子だったり、時にはハッとするような綺麗な女の顔を見せたり。
信長に輿入れしたらフェードアウトしちゃうんでしょうかね。
本能寺でのシーンを見たいような見たくないような…

今大河は綺麗ですね。彩度の効果もあるのでしょうが、それ以上に画面構成が美しい。モッ君の所作も様式美にハマってますよねぇ。

脚本もいいと思います。
ただ、茶々さんも仰るとおり、急いで書いたであろう尺部分はねぇ、、、
光秀と駒が添い寝するシーンなんて、光秀が駒を呼び寄せてましたが、私はてっきり駒が、「その火を飛び越えて来い!」って言うかと思いました。(私は百恵ちゃん世代です。笑)

ところで、ちょっと気になったのですが、織田信長が揚羽蝶の家紋を使い出したのは、帰蝶の輿入れ後の事なのでしょうか?
川口帰蝶の着物の蝶を見ていて、ふと信長の人柄に触れた気がしましたもので。
(私は信長は魔王だとは思っていません。その時代に合った優れた良識人だったと思っています。)

投稿: とーぱぱ | 2020年3月 7日 (土) 07時13分

とーぱぱさん、こんにちは~

>百恵ちゃん世代…

「潮騒」ですよね?ww
確かに、似たシュチュエーションでしたね。

>織田信長が揚羽蝶の家紋を使い出したのは…

平氏の家紋が「揚羽蝶」なので、たぶん途中で(天下を意識して)平の姓を名乗っていた頃ではないか?と思います。
(「秀吉の豊臣姓」のページ参照>>)
確か「(武士で)天下を牛耳るのは源氏と平氏の交代」説みたいなのがあったようですので…
平清盛(平氏)
源頼朝(源氏)
北条家(平氏)
足利家(源氏)
と来て、次は平氏みたいな?

その前は、以前からの「木瓜」のままで藤原の姓を名乗ってたし、上洛後は義昭から足利家が使用する「二つ引両」を賜ってますので…
もちろん、被ってる期間もあるとは思いますが…

投稿: 茶々 | 2020年3月 7日 (土) 16時41分

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