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2020年11月16日 (月)

大河ドラマ『麒麟がくる』第32回「反撃の二百挺」の感想

 

武将たちがアップとともに叫ぶ「うぉ~」「わぁぁぁ~」で姉川が終わってしまった大河ドラマ『麒麟がくる』第32回「反撃の二百挺」の感想です。

ま、スタジオなら3密しまくり、屋外ロケでも密集と密着の2密が避けられない合戦シーンですから、今年ばかりは諦めねばならないのでしょうが、歴史バラエティ番組の再現シーンよりも短い姉川の合戦には、やっぱ、ちょっと寂しい物がありますね。

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姉川古戦場

その前に、滝藤公方様&摂津鶴ちゃん相手に、鶴ちゃんの言葉の上げ足を取って言い負かしちゃうあたりは、さすがに長谷川光秀、主役らしくカッコ良くなって来たなぁ~と思ってただけに・・・

で、その後、蔵之介秀吉と一緒にに鉄砲を買い付けに行って、陣内宗久との交渉・・・

「鉄砲は、もう売っちゃったのでないのよ」
と渋る陣内さんに
「売った相手を教えろ!」
とズゴむ二人。。。

「相手の名前は教えられへんけど、茶会やるからおいでよ」
と、実は、その茶会に鉄砲を売った相手が来るので、
「そこで譲ってもらう交渉したら?」
てな事らしいけど、

その茶会という名の武器商談会のメンバー表に「こま」ちゃんの名前が!!!

このメンバー表見て、ほとんどの視聴者の方が
「おいおい!お前入っとんのかい!」
とツッコミを入れたものと察しますが、

なぜか、蔵之介秀吉は
「この『こま』というのは女性ですかね?」
って、オイ!
その昔、君があまりに
「字を教えて~」
と駒ちゃんのケツを追っかけるから、視てるオバチャンたちは、駒ちゃんが秀吉の側室になるんじゃないか?とハラハラしてましたがな。

それを・・・名前見て、、、何を言うてんの???
と、思っていたら、今度は、メンバーの内の一人の(鉄砲を買った)鶴瓶はんの息子筒井順慶との交渉に挑む長谷川光秀に
「駒殿は公方様の寵愛を受けてるから気をつけろ」
って・・・

駒ちゃんの事、
よく知ってるんか、知らんのかハッキリしてくれぃ

駒は駒で、光秀の
「鉄砲を譲ってくれ」発言を後押しする始末・・・

「戦争は嫌」
じゃ無かったの?
貧しい人の治療をする『悲田院』を造る!
んじゃ無かったの?

いつから武器商人の片棒を担ぐ人になちゃったの?
まぁ、合戦が頻繁に起こってケガ人増えた方が薬売れてウハウハだろうけど・・・それはアカンやろww

で、結局、お駒ちゃん本人に
「自分は身の丈の合わぬ事をしているのではないか?」
と、架空の人物がグイグイ出過ぎる事を反省するような事を言わせちゃう・・・

見ている側はみんな思ってるけど、それを駒役の門脇麦ちゃんに言わせるのは、ちょっと可哀そうな気がしました。
(俳優さんのせいじゃないからね)

ほんで、結局、
長谷川光秀が順慶を信長に会わせる、
駒ちゃんが順慶を公方様に会わせる、
事を条件に順慶は光秀たちに鉄砲を譲って、その鉄砲のおかげでアッサリと姉川の戦いに勝ちましたとさ。。。

てか、なんで順慶は光秀に
「信長さんに会わせて」
と頼むん?

ほんで、なんで光秀は
「オッケーやから鉄砲譲ってチョーダイ」
てなるん?

光秀は幕臣ぞ!
襖の向こうには、信長直臣の秀吉が控えているというのに、なぜに幕臣に頼む・・・
で、以って、なぜに幕臣が勝手に会見をOKする・・・

しかも、時期的にもちょっと早いゾ!
金ヶ崎の戦い元亀元年(1570年)4月
その2か月後の6月姉川の戦いだけど
(【金ヶ崎の退き口から姉川の戦いまでの2か月間】参照>>)

金ヶ崎の4ヶ月前の永禄十二年(1569年)の暮れ12月に、順慶が、松永久秀に開け渡されるはずの十市城(とおちじょう)に攻め込んで勝手に占拠してしまってますが、姉川の戦いには、後詰ではあるものの久秀も織田軍の一人として参陣している一方で、この姉川の戦いの頃も、順慶は十市城を占拠したまま(【十市の内紛】参照>>)・・・つまり、明らかに敵対していたわけです。

ま、その後、姉川からほどなく野田福島にて戦いが起こり、そこに本願寺が参戦し(【野田福島~春日井堤の攻防】参照>>)、さらに武田信玄が徳川家康&信長に対抗するかの如く西行して来る事で、松永久秀が本願寺と結んで信長と敵対し、筒井順慶は敵の敵は味方という感じで信長の傘下になっていくわけですので、ここで出会っていても良いっちゃ良いのでしょうが、ギリとは言え、松永久秀が信長を裏切るまでは、順慶はやはり敵でしょう。。。

って事は、今回ドラマで描かれた、姉川の前(十市城占拠中)の時点で信長との面会をOKしちゃうってのは、
敵対している相手との会見を、家臣でもない光秀が勝手にOKした事になるので、光秀が、この先、久秀が信長を裏切る事を知っている超能力者設定でない限り、無理があると突っ込まざるを得ません。。。

ちなみに、実際には、久秀が信長から離反した後の元亀二年(1571年)8月に起こった辰市城(たついちじょう)の戦いで、松永方に勝利した順慶が勝ち取った首級=240ほどを信長のもとに献上して自身の存在をアピールしてますので、やはり、順慶が信長に近づくのは、このあたりからではないか?と思います(【辰市城の戦い】参照>>)
(もちろん順慶も、心の中ではそれ以前からチャンスを伺ってたとは思いますが)

ま、ドラマは残りの時間が少ない(最終回は来年の2月7日らしい)ですので、チャッチャと事を運ばねばならないのでしょうけど。。。

で、そのチャッチャのせいかも知れませんが、今回、風間家康の発言で唐突に出て来た武田信玄・・・

「信玄が上洛をもくろんでる」
「私は信玄と戦うつもり」

といきなり来ましたが、

実のところは、あの桶狭間に始まってます。

前半、桶狭間をあれだけ丁寧に描いていたので、ホント、時間がない事が惜しまれますが、

そもそもは桶狭間の後、愛之助義元を失って衰退の影が見えはじめた今川に対して、
「勝ち取ったあかつきには今川領地の西半分(遠江)を德川が、東半分(駿河)を武田が治める」
の約束をさせて、今川の領地を
「西(三河の家康)と北(甲斐の信玄から攻めたらええやん」
德川と武田の両者を結んだのは信長です。

だからこそ、義元の後を継いだ今川氏真の本拠である今川館(駿河)を信玄が襲撃し(12月13日参照>>)、慌てて逃げた先の掛川城(遠江)を家康が囲む(12月27日参照>>)・・・という見事な連携プレーが叶ったわけですが、

しかし、ここで、家康がなかなか落とせなかった掛川城攻防戦に北条氏政が介入して来て德川と北条の間に同盟が結ばれ、氏政の息子である北条氏直が今川氏真の猶子(ゆうし=契約上の養子)となって今川家の家督を継ぎ、駿河&遠江の支配権を保証されるという条件のもと掛川城が開城されたのです。(←結果的には「支配権」に関してはウヤムヤになってますが)

もちろん、未だ駿河にて絶賛転戦中の信玄(【信玄の駿河侵攻~大宮城の戦い】参照>>)としては、
「何、德川と北条で勝手に決着つけとんねん!」
です。

で、その後の信玄は北条と戦いつつ、信長と家康と敵対関係になり、やがて「上洛か?」と思える西行を開始する(10月22日参照>>)事になるわけですが、たぶん、これらは時間の関係ではしょられ、

ドラマでは、いきなりの
「信長に敵対すべく信玄が上洛してくる」
からの
「三方ヶ原で家康クンお漏らし」(12月22日参照>>)
という展開になるのでしょうが・・・

私個人的には、2月・3月の春先あたりで、今描かれているようなあたりまで進んでていただき、その後、半年以上をかけての光秀の活躍を描いていただきたかったのですが、

今年ばかりは、最初のアレにコロナのコレで、今となっては、最終回で本能寺まで突き進むためには、いっぱいはしょらねばならない状態となってしまい、本当に残念!

しかし、
そこを、プロのスタッフの皆さまの手によって、急いでるけど胸打つ演出をやっていただける事を期待して・・・来週も楽しみにしております。

追記:
(予告見る限りでは)
来週、長島一向一揆で亡くなる信長の弟(【小木江城攻め参照】>>)に触れてくれるのはウレシイ・・・

言っときますが、信長さんはむやみやたらと鬼の様に相手を根絶やしにしてるわけではありません。
比叡山焼き討ち(9月22日参照>>)の前にも宇佐山でもう一人の弟=信治森可成という古くからの重臣もやられてます(9月20日参照>>)

「やられたら、やり返す」です。
ただ、ハンパなく強いので10倍返し以上になります。(←個人の感想です)
 .

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コメント

管理人様いつも楽しく拝見しております。

メアリー・スーとは言いたくありませんが、駒さんにはそろそろ程々にしていただきたいですね。
しかし、明智光秀、徳川家康、豊臣秀吉、近衛前久、足利義昭、今井宗久、筒井順慶と素晴らしい人脈ですね。

投稿: ぼの | 2020年11月17日 (火) 20時02分

ぼのさん、こんばんは~

ドラマも創作物ですから、架空の人物が出てきて活躍すのもアリだと思いますが、今回の駒ちゃんは、ちょっと手を広げ過ぎた感ありますね。

麒麟のくだりを主人公に教える役と、あと2~3人で納めとけば、そんなに不自然では無かったと思いますが…

この先、比叡山に行ったり、公方様と一緒に毛利に行ったりするんでしょうかねwww

投稿: 茶々 | 2020年11月18日 (水) 03時58分

茶々さん
こんにちは

色々とツッコミ所もありますが、
長谷川光秀が主人公らしく良い感じになってきましたね!
(相変わらず誰の家臣なのというツッコミが頭の中をこだましますし、川口帰蝶姫のポジションを代わりにやっているいっときだけかもしれませんが…)

「仏は重くありませんか?」
は比叡山焼き討ち推進派として描く芽も出てきましたね〜

滝藤義昭も本性を見せそうな感じで今後が楽しみです。

駒ちゃんは…
彼女はラノベ大河ドラマの主人公なので(と言い聞かせています)

投稿: 三枝 | 2020年11月18日 (水) 11時12分

茶々さん

すみません、先ほど投稿させていただいたコメントに一部訂正があります。
大事な単語を入れるのを忘れていましたw

-----
色々とツッコミ所もありますが、
長谷川光秀が主人公らしく良い感じになってきましたね!
(相変わらず誰の家臣なのというツッコミが頭の中をこだましますし、
川口帰蝶姫のポジションを代わりにやっているいっときだけかもしれませんが…)

「仏は重くありませんか?」
は比叡山焼き討ち推進派として描く芽も出てきましたね〜

滝藤(筋肉)義昭も本性を見せそうな感じで今後が楽しみです。

駒ちゃんは…
彼女はラノベ大河ドラマの主人公なので(と言い聞かせています)

投稿: 三枝 | 2020年11月18日 (水) 11時27分

三枝さん、こんばんは~

おっしゃる通り、長谷川さんは良いです。
主人公らしくなってきましたね。

早く信長の家臣になってノリノリで比叡山を焼き討ちしてもらいたいですww

滝藤さんは
「役者は、いつ裸になるかわからない」
と、常日頃から鍛えていらして、フンドシ姿にも上機嫌だったようですね。。。
細身なのに筋肉スゴかったです。

投稿: 茶々 | 2020年11月19日 (木) 01時09分

茶々さんこんばんは。

この回は雑な描き方でしたね。

コロナの関係で当初の予定が狂ったのはあるかもしれませんが、大河自体が大体いつも序盤は濃密に、中盤以降は速足に、という描き方が多い気がするんですよね。

キャラ付けのためですかね。

順慶の話は勉強になりました。

見ているときは順慶の織田家恭順の経緯を詳しく知らなかったので「なんか不自然だな」程度にしか感じませんでしたが、経緯がわかると大いに不自然ですねw

投稿: 鷲谷 壮介 | 2020年12月27日 (日) 00時28分

鷲谷 壮介さん、こんばんは~

大河ドラマの終盤が猛スピードになるのは、48年前の「新平家物語」の時から、すでにそうなってましたね。

「新平家物語」の原作は全20巻ですが、最後の3~4巻分くらいを最終回の45分でやってました。
(ほとんど小説を読まない中で、数少ない原作を読んだドラマだったので記憶に残ってます)

原作の中の静御前が好きだったので期待してたんですが、義経の逃亡劇やら静御前の鎌倉行きが、まるっとはしょられていて、ちょっと残念だったのを覚えています。

「新平家物語」は主役が平家の人々なので義経部分ははしょられていても成立しますが、今年は、その年以上にスピード上げないと本能寺までたどり着かないような気がしますので、コロナ禍で大変な中、どのような落としどころで納められるのか?スタッフさんの手腕に期待してます。

順慶に関しては、ドラマの内容だと、光秀とお駒ちゃんの二人でモメ事を起こすような種をまいておきながら、一触触発状態となってしまってから、今度は「戦いはいや」とか「矛を収めてくれ」とか、二人して言ってるような感じ?で、ちょっと不思議感が漂ってます。

投稿: 茶々 | 2020年12月27日 (日) 02時56分

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