大河ドラマ『麒麟がくる』第34回「焼討ちの代償」の感想
なんや知らんけど、比叡山から逃れて来たケガ人を、おそらく自分より目上であろう武士たちに向かって、偉そうにテキパキを指示する駒ちゃんを、横からジィ~と見つめとるな~と思っていたら、
とうとう順慶まで駒様にホレたか?と思った大河ドラマ『麒麟がくる』第34回「焼討ちの代償」の感想です。
吉田久秀と駿河順慶の仲を取り持とうと、長谷川光秀が順慶を茶会に誘うと
「駒様も行かれるなら…(参加します)」
…、ていう
「お前もか!」感が拭えない返答。。。
しかも「大仏を焼いた」のを、さも久秀一人がやった事のように他人事感覚で話す順慶さん・・・いやいや、あの時、アンタはんも大仏殿の回廊に陣取ってましたやん(【東大寺大仏殿の戦い】参照>>)。
てか、そもそも、今の時点で、誰かが口きいたとして、松永VS筒井の戦いを回避できるって事あるんでしょうか?
目の前のただ一つの戦いを止めさせる事くらいならできる(堅田の戦いが正親町天皇の綸旨で和睦したように→堅田の戦い参照>>)かも知れませんが、長期的には絶対ムリでしょ。
先週も書きましたが、当時の筒井順慶は、松永派の十市家臣によって松永久秀に開け渡されるはずだった十市城を、武力で以って勝手に占領して、再三の久秀の開城要求を無視して籠城してますよね?
順慶が十市城を占領したのが永禄十二年(1569年)12月で、翌年(1570年)の7月には順慶自ら軍を率いて十市城に入ってヤル気満々だったはず・・・久秀息子がコレを奪回するのが天正四年(1576年)3月ですから、比叡山の焼き討ちがあった元亀二年(1571年)9月は、未だ占領の真っ最中ですよね?(【十市の内紛】参照>>)
しかも焼き討ち1ヶ月前の辰市城(8月4日参照>>)では「大和で、これほど討ち取られたのは、はじめてだ」(『多門院日記』)ってくらいの激しいドンパチやってるんですから、今更そんな両者の間に入って「戦いを止めるの止めないの」の問題では無い気がするのですが。。。
ま、実際には、この時点での久秀は、すでに武田信玄と連絡とってると思えるので、戦争回避はできそうに無いであろうと推察しますが…。
とは言え、あの階段での
「座れ」
「座れ」
「座れ」
「座っております!」
は、オモシロかったです。
階段に座ってコソコソしながらのセリフのやり取りも良かったです。
ただ、、、
「信長さんからいただいた領地を勝手に久秀に譲る」約束をするのは、ちょっとやり過ぎなのでは?
そもそも、なんで幕臣の光秀に、信長が領地を与えるのかもワカラン。
比叡山の焼き討ちには安藤勝家も金子信盛も佐々木蔵之介秀吉もいたのに???
信長が「1番の功労者だ」と言ってたけど、それはイケイケで焼き討ちを指揮した史実での光秀(だからこそ焼き討ち後に比叡山の麓を領地にもらってる)であって、ドラマ上の光秀は、焼き討ちを快く思ってない設定でしたよね?
それでも、百歩譲って1番の功労者だったとして、
千歩譲って家臣でもない光秀に、信長が勝ち取った領地を与えたのだとして、、、
あと1万歩譲っても、それを勝手に譲ろうとするのはアカンです。
なぜなら、戦国武将という者は、「そのため」に戦ってるんですから・・・
天下泰平となった江戸時代なら、内政で腕を奮う官僚的な武士も多かろうと思いますが、世は戦国・・・勝ち取った土地を支配する権利をもらえるから命を懸けてるんです。
間宮左馬助や徳重伝吾が、あんなにアナタを敬ってくれるのはなぜ?
奥さんは何のために、アナタにあんなに尽くしてくれるの?
鎌倉時代から続く「御恩と奉公」「一所懸命」の武士の志を無視する流れは、ドラマと言えど、あってはならなかったと思います。。。非情に残念です。
また、焼き討ちの状況を夢に見てうなされる・・・みたいな表現も。。。
先も言いましたように、戦国武将は戦うのが仕事みたいな物ですから、いちいちうなされてどうする?
てか、これまで戦った事、無かったんかいな?
金ヶ崎で殿(しんがり)務めたんですよね?
殿は、撤退戦の中でも、殺らなければ殺られる最も危険は役どころ・・・そこをくぐりぬけて、戻って来たんですよね?
…って事は、その時、いっぱい斬ってますよね?
金ヶ崎の時に斬った相手はどうでも良くて、比叡山なら後悔する?
ま、斬ったのが女子供だから…って事なんでしょうけど、先週、信長さんが「関係の無い者は山を下りろと散々言った」と言ってたし、今回も、「(未だ比叡山にいるのは)女子供であっても刃を向けて来る者」と言ってましたが、戦国の世は、それが正解です。
駒ちゃんは
「戦いに良い戦いも悪い戦いもない」
と言ってたけど、
そもそも現政権がちゃんとしていて、平和なら、わざわざ戦う人はいないわけで、それがちゃんとしてないから戦国なのでは?
ドラマである以上、どうしても平和路線に持って行かなきゃいけないんだろうけど、やっぱ、その路線で戦国を描くのは難しい気がします。
何とか「麒麟がくるまでの苦渋の選択」てな描き方にできないのかなぁ?
やっぱ、難しいのかな?・・・残念やけど。
残念と言えば、
筒井と松永の一触即発代理戦争に、幕府が筒井の後押しして松永の後ろにいる信長を潰そうとしている事を、駒ちゃんから聞くまで光秀が知らなかった事も残念無念。。。
長谷川光秀は幕臣ですよね?
なんで、駒ちゃんから聞くまで知らないんだろ?
いや、ひょっとしたら、ドラマの中では、いつの間にか織田の家臣になっちゃってる設定なのかも知れない。。。
なんせ、公式サイトの来週の予告には
「幕府内では、信長の力を削ぐべくその重臣である光秀の暗殺計画が持ち上がる」
って書いてある。
「その重臣」の「その」って…文章的には信長ですよね?
とは言え、この疑問の回答は、きっと来週描かれるはず・・・楽しみですね。
それにしても、比叡山の焼き討ちは信長の命令で、光秀は、それに従っただけだし、従った家臣も山のようにいるのに、なぜに、光秀一家だけが庶民から石投げられるほど嫌われてるのかワカラン。。
(そもそも墜落してる当時の僧がクソという設定やし)
しかも、ネットで晒されでもしたんか?と思うくらい娘の顔もバレてるなんて!!
令和の今でさえ、よほどの人気者でない限りタレントやYouTuberが街歩いても顔ささんと思うけど、戦国の情報網はスゴイ。
とまぁ、
今回、かなり多くのツッコミどころがありましたが、
おそらく、コロナのおかげで、スタッフ様も大変な事になってると思われますので、多少のツッコミどころは致し方ないところであります。
来週も楽しみにしております。
追記:正親町玉三郎様の、上から目線の
「褒めてやった」
は良かったです。
穏やかでありながら、したたかで、信長の正確見抜いて操る気満々で、
この先が楽しみです。
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コメント
茶々さん
こんにちは
またまたお邪魔させていただきますm(_ _)m
いちいちごもっともと思いながら楽しく読ませていただきました!
戦国時代に戦争反対という平和主義をもちだすのはなかなか厳しいですねー
しかもあの明智光秀で...
女子供の命を一時的に救ったとしてその後無事に過ごせるのかとか、
逃した坊主は別の場所で同じようなことをしない保証はあるのかとか、
戦は本意ではなかったって今更...それ死んでいった仲間の前で言えるのかとか、
ついつい余計なことを考えてしまいます。
表面上だけ戦=悪と言わせるから感情移入というか応援ができないんですよねー
(無用な死者を出さない為に積極的に戦に参加したとか、徳重伝吾に女子供を集め安全な村まで逃せと命令するとか、死んでいった者たちに対して必ず平和な世をきずいてみせると誓わせるとかしてれば不満はないのですが...)
ところで玉(珠?)ちゃん良かったですね〜(これが最近の子役のクォリティ!?)
思うところはあるけど父を信じるという感じが健気でした。
この子が(父のせえかはさておき)あんな運命を辿ることになると思うと...
あと個人的に天皇様がなかなかしたたかな感じで良かったと思います。
ただ信長さん...「褒めて欲しそうだから褒めてやった」って言われてますよー
めっちゃ御し易い認定されちゃってますよー
投稿: 三枝 | 2020年11月30日 (月) 13時42分
三枝さん、こんにちは~
>あと個人的に天皇様がなかなかしたたかな感じで良かったと…
あっ!
それ書くの忘れてました(#^o^#)
早速、追記させていただいときます。
玉三郎さん、良いですね~
品があって姿勢が良くて…この先、蘭奢待の一件でも登場されるのかしら?
楽しみです。
投稿: 茶々 | 2020年11月30日 (月) 16時15分
茶々さん、こんばんは。
この回は全体的には面白かったですが、やはりおっしゃる通り、松永久秀と筒井順慶の会見が解せませんでしたね。
ここを丁寧に描くくらいだったらもっと他に…笑
あとは、この時点で十兵衛がいまだ幕臣ってのも気になりましたね。
ただ、足利義昭が織田信長に敵対していく描写はうまいなと思いました。
投稿: 鷲谷 壮介 | 2021年1月20日 (水) 00時12分
鷲谷 壮介さん、こんばんは~
色々と、時間調整やスケジュール調整が難しいのでしょうね。
もちろん、滝藤公方様の描き方は良いです。
投稿: 茶々 | 2021年1月20日 (水) 01時57分