何だか気になる「三大〇〇」~日本三景の日にちなんで
1618年7月21日(元和4年5月29日)は、江戸前期の儒学者で 、著書『日本国事跡考』の中で天橋立・松島・宮島が日本三景として絶賛した林鵞峰(はやしがほう=林羅山の三男)の誕生日である事から、今日、7月21日は「日本三景の日」という記念日なのだそうです。
今回の「日本三景」に限らず、「御三家(尾張・水戸・紀州もしくは舟木・橋・西郷)」や「三人娘(美空・江利・雪村)」など、とかく「三大〇〇」というのがよくあります。
日本では、もともと奇数が良い数字とされ、
「七五三>>」や
「白波五人男>>」
「七福神>>」
また「食器のセットが5人分(瀬戸物参照>>)」など「三大」以外も多いですが、
一般には割り切れる偶数が良い数字とされ、「食器のセットも6人分」「1ダースは12」が基本の欧米でも、
「三大珍味(トリュフ・キャビア・フォアグラ)」や
「三大発明(活版印刷・火薬・羅針盤)」
「世界三大美女(国によって違う)」なんてのがあったりします。
自然発生的な面もあり、もはや「なぜに3なのか?」というハッキリした根拠を決めるのは難しいでしょうが、とにかく心理学的に、この「3」という数字は、人間が落ち着く数字であり安定感を感じる数字である事は確かなのです。
たとえば、こんな話があります。
ある定食屋さんが、お昼のランチとしてAランチ(800円)とBランチ(500円)を売り出したものの、さほど売れ行きが良くない・・・
しかも、ほとんどのお客さんが500円のランチを注文する。。。
そこで、上記の「3の法則」をアドバイスされた定食屋の主人が、Aランチの上にもう一つSランチ(1000円)を出してみたところ、なんと、飛ぶように売れ始め、しかも、ほとんどのお客さんが800円のBランチを頼んでしまう・・・という結果に。。。
人は3つあると安定するうえに、その真ん中だと特に安心感を持ってしまうらしい。
松竹梅もそうですよね~
しかも、3つの選択肢という安定感から、おそらくお昼ご飯としては高いであろう1000円のランチを、たまには奮発して…と頼む人も出て来るわけで・・・
自分自身、胸に手を当てて考えてみても、究極の2択より、3つからの方が選びやすいです。
そんな中、今回の「日本三景」を選んだ林鵞峰さんは江戸初期の人、また、下に書いてる信長三大苦難が登場する『武家事紀』を記した山鹿素行(やまがそこう)も江戸時代初めの人
ですから、日本人の「三大〇〇」言いたがりも、なかなかに歴史があると言えますね~
てな事で、本日は、愚ブログに登場する「三大〇〇」をご紹介させていただきたいと思います。
★日本三大怨霊
●菅原道真>>
●平将門>>
●崇徳天皇>>
★日本三大怪談
●四谷怪談>>
●番町皿屋敷>>
●牡丹灯籠>>
★戦国三大奇襲
●河越夜戦>>
●厳島の戦い>>
●桶狭間の戦い>>
★信長三大苦難『武家事紀』より
●金ヶ崎の退き口>>
●志賀の陣=宇佐山の戦い>>~堅田の戦い>>
●福島野田の対陣=野田福島>>~春日井堤>>
★天下の三大名器(肩衝の茶入れ)>>
●初花(はつはな)
●楢柴(ならしば)
●新田(にった)
★日本三大山城
●備中松山城>>
●美濃岩村城>>
●大和高取城>>
★日本三大水攻め
●備中高松城>>
●紀伊太田城>>
●武蔵忍城>>…って全部秀吉がらみやん
★日本三大仇討ち
●曽我兄弟の仇討ち>>
●伊賀上野鍵屋の決闘>>
●元禄赤穂事件(忠臣蔵)>>
★放浪の三大詩人
●西行>>
●松尾芭蕉>>
●飯尾宗祗>>
★日本三大お家騒動
●黒田騒動>>
●伊達騒動>>
●加賀騒動>>もしくは仙石騒動>>
★江戸三大大火
●明暦の振袖大火>>
●明和九年の迷惑大火>>
●文化の大火>>
★江戸三大改革
●享保の改革>>
●寛政の改革>>
●天保の改革>>
★維新三傑
●西郷隆盛>>
●大久保利通>>
●木戸孝允>>
ちなみに、「日本三大祭」は、
大阪の「天神祭」と
東京の「神田祭」と
京都の「祇園祭」・・・
全国各地のお祭りがテレビ中継される今では、
「もっとスゴイお祭り、いっぱいあるやん」
と、お思いの方も多いでしょう。
まして地元の方なら、
「なんで?ウチのやないん?この3祭なん?」
と思われるのは当然だと思うのですが、
あくまで、私の個人的な推理で言わせていただくと、
この「三大祭」を選出された方は…どなたかは存じませんが、おそらくは「怨霊の強さ」で選んだんじゃないか?と思うのです。
五穀豊穣のお祭りは、それこそ、各地に大小メッチャクチャあり、その起源も新古様々で、その中から何を基準に選ぶのか?というのは、大変難しくほぼ不可能・・・そんな中で、怨霊を鎮めるお祭りなら、その怨霊の恐ろしい度や有名度なんかで、なんとか三大を選ぶ事ができるわけで・・・
天神祭りは、上記の三大怨霊の一人の天神さんこと菅原道真(すがわらのみちざね)の鎮魂・・・雷神となって京の都を揺るがす大怨霊です。
そして神田祭は、これまた三大怨霊の一人で、京都に晒された首が唸りをあげて東京まで飛んで行っちゃった平将門(たいらのまさかど)です。
そしてご存知のように、祇園祭>>は牛頭天王こと須佐之男命(すさのおのみこと)・・・神代の昔から恐れられる荒ぶる神で怨霊の親玉みたいな方ですからね。。。(大将軍神社も参照>>)
まぁ、とにもかくにも、人は「三大〇〇」が大好きですわ!
とは言え、
ついでに付け加えると…
★幕末四大人斬り
●河上彦斎>>
●岡田以蔵>>
●中村半次郎(桐野利秋)>>
●田中新兵衛>>
なんてのも、ある・・・
確かに、戦国時代には
「〇〇四天王」てのも多いですな~
ただし
★龍造寺四天王>>
は5人いてる。。。
って、結局は何でもアリなのかも知れんけど(^o^;)アセアセ
とにもかくにも、
最近では、「ウィキペディア3大文学」なんていうのも「読みだしたら止まらない」と話題になってるそうですから、この先もどんどん「三大〇〇」は生まれそうですね。
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コメント
お久しぶりです! 確か「三大大泥棒」もあったと思います。石川五右衛門、鼠小僧次郎吉、日本左衛門。前の2人の知名度は高いけれども、3番目の泥棒は初の広域指名手配となったとか、調べると結構面白かったです。あと、自分の中では山城は高橋紹運が島津相手に壮絶な死闘を繰り広げた九州長屋城が一番で、次に千早城と赤坂城が三大山城になります。
投稿: 通りすがり | 2021年7月24日 (土) 00時27分
通りすがりさん、こんばんは~
そうですね。
城郭については、私もイロイロ思うところがあるんですが、今回は、一般的言われている「三大」をご紹介という形にしてみました。
日本左衛門は、このページでリンクしている「白波五人男」のページ>>が、ほぼ日本左衛門の話を書いているページなので「三大泥棒」の方で書くのは遠慮したんですが…
そのページでも、全国指名手配の手配書に、「顔や身長はわかるけど、服装や持ち物は変るやろ!」と思わず突っ込んでますwww
投稿: 茶々 | 2021年7月24日 (土) 03時36分
三英傑を挙げているので織田信長に関して最近知ったことを書きます。いくつかある織田信長の花押の1つは、麒麟の「麟」の字を変形させたものだそうです。これは最近まで知りませんでした。
なので、前・大河ドラマ「麒麟がくる」の「麒麟」とは、番組内では織田信長のことと思われます。番組概要では「麒麟は織田信長を指す」とは言っていませんでした。
それにしてもこの番組で腑に落ちないのは、本物のキリンが最後まで出なかったこと。NHKの「ダーウィンが来た」や「ワイルドライフ」から、キリンの映像を転用できなかったのかと思います。
投稿: えびすこ | 2021年7月25日 (日) 11時31分
えびすこさん、こんばんは~
「麒麟がくる」の公式ポスターには、主役の長谷川光秀の後ろに墨絵の麒麟がいるので、やはり「麒麟は光秀なんじゃないかな?」と個人的には思ってます。
最終回は天海につながるような描写でしたし、現存する天海の兜は麒麟ですしね。
麒麟は想像上の神獣なので本物はムリでしょう。
さすがの「ダーウィンが来た」や「ワイルドライフ」でも、キリンの映像はあっても麒麟の映像は無いですよ。
動物のキリンは英語では「giraffe」ですが、伝説の麒麟は英語でも「kirin」…日本での呼び名が同じなだけで両者は別物です。
投稿: 茶々 | 2021年7月26日 (月) 04時08分