映画「信長協奏曲」~感想です
公開から1ヶ月経ちましたが、やっとこさ、映画『信長協奏曲(のぶながコンチェルト)』を鑑賞させていただいたので、その感想など、お話させていただきます。
・・・・・・・・・・
映画は、まだ公開中ですので、なるべくネタバレしないよう感想を述べたいと思いますが、「ネタバレなして感想を書く」というのは、かなり高度な技術がいると思われます中、もともと文才の無い茶々でございますゆえ、話を進めていくうちに、少々バレてしまうかも知れませんが、そこのところは、ご了承いただきたく存じます。
(注:原作漫画は見ておりませんので、あくまでドラマと、それに続く映画の感想です…あと、ドラマはすでに放送されているのでドラマの内容は完全にバラします)
・・・まず、最初の感想は、
当然ですが、「ドラマを見てオモシロイと思っていた方はオモシロイ」です。
なんせ、俳優さんもろともドラマの続きですから・・・
いや、むしろ、ドラマが、完全に「続きあるヨ」的な終わり方だったので、自身の心の中で、あのドラマを完結させるという意味では、映画も見た方が、完全にスッキリ終われますね。
・・・で、2014年の10月から1クール=3ヶ月間放送されていた映画の前篇となるドラマは・・・
小栗旬さん演じる高校生のサブローがタイムスリップ・・・そこで、自分とソックリの若き日の信長に出会いますが、その信長は、自分が病弱な事や、父親から「大将の器では無い」と叱責された事から自信を失っており、サブローに「自分に代わって信長やってくれへん?」と自身の証となる刀を預けます。
タイムスリップする前にいた場所が映画村(歴史村?)だった事から、「(イベントの劇とかで)信長の役をやってくれ」と頼まれていると思ったサブローは「オモシロそう!やってみる!」と引き受けますが、それが、ホンモノの信長だったわけで・・・と、こんな感じで話が進んでいきます。
サブローが信長になった時点で、すでに帰蝶(きちょう=濃姫)と結婚している事(2月24日参照>>)、父の信秀(のぶひで)が序盤で亡くなる事(3月3日参照>>)から、ドラマの始まりは、天文二十年(1551年)=信長18歳のちょっと前の頃から・・・となっているようです。
第2回の放送で、天文二十二年(1553年)の信長と斉藤道三(さいとうどうさん)との会見(4月20日参照>>)が描かれていますので、やはり、そうなんでしょう。
そう、実は、この「信長協奏曲」のオモシロイところは、はじまりが「タイムスリップ」という荒唐無稽な設定ながら、そこに史実をうま~く絡めてくれているところです。
おそらくは、原作者の方が、かなりの歴史好き&信長好きなのでしょう・・・その発想に歴史愛が見え隠れします。
また、原作には無いドラマ版でのオリジナルキャラとして、信長の従兄弟の織田信清(のぶきよ)>>をチョイスして下さる所なんざ、ドラマの造り手さんの中にも、歴史好き&信長好きが感じられるので、お笑い的な要素も、創作丸々な部分も、落ち着いて見ていられるのだと思います。
そんな中で、奇抜なヘアスタイルに奇抜なファッション、変な言葉づかいに突飛な発想は、現代人のサブローなればこそ・・・という路線で物語は進みます。
未だ群雄割拠する戦国で、「天下を取ってやる!」と豪語するのも、「これ以上誰も死んでほしく無い!」「戦争の無い日本にするには全国を一つにするしかない!」という、現代日本の平和を知っている者なら、ごく普通に思い描く部分から来ているのですが、未だ戦国真っただ中の人たちにとっては、それは思いもよらぬ発想・・・そこに、家臣たちも魅かれていくわけで・・・
・・・とまぁ、こんな感じで、未だ、尾張(おわり=愛知県西部)すら統一していない時点の織田家を信長として引っ張っていく事になるサブローが、
その後の・・・
弘治二年(1556年)の斎藤道三の最期>>
永禄三年(1560年)の桶狭間の戦い>>
永禄九年(1566年)?墨俣の一夜城>>からの
永禄十年(1567年)の稲葉山城・陥落>>
永禄十一年(1568年)の足利義昭を奉じての上洛>>
元亀元年(1570年)に始まった浅井朝倉との戦いでの金ヶ崎の退き口>>から続く、主要キャラの森可成(もりよしなり)が討死する宇佐山城の戦い>>へと、
信長主人公の物語の定番となる様々な場面を、歴史に疎く、戦いに慣れていない現代高校生のサブローの成長ぶりとうまく絡めつつ、ドラマは描いてくれていましたね。
さらに、
元亀二年(1571年)の比叡山焼き討ち>>や、
天正元年(1573年)に将軍を追放する槇島城の戦い>>や浅井家の滅亡>>まで・・・
と長々とお話してしまいましたが、この浅井家の滅亡までが、月9で放送されたドラマでの出来事で、映画では、その続き=安土城を完成>>させるあたりから、信長の最期となる本能寺の変>>までが描かれます。
もちろん、本能寺へ至る伏線は、すでにドラマの時から貼られているわけですが・・・
それが、途中から、頭巾で顔を隠した本物の信長が、謎の武将=明智光秀(あけちみつひで)と名乗り、家臣となってサブローをサポートする事・・・
もう一つ、以前、信長(本物の方)が焼き討ちした村の生き残りで、家族を皆殺しにされた恨みを持つ男が、木下藤吉郎(きのしたとうきちろう=後の豊臣秀吉)と名乗って、草履取りから側近となっていく事・・・
最初は、本当にサブローの味方となってサポートしていた光秀でしたが、その冷酷な性格から、信長当時は、心通わす事が無かった家臣たちや妻の帰蝶が、サブローを心底慕っている場面を目の当たりにし、密かに嫉妬の炎を燃やす中、信長⇔サブロー入れ替わりの事実を知った秀吉が、「あなた様こそ信長様…」と、光秀にサブローを暗殺させようと画策し、光秀自身も、信長の座を取り戻したいと思うようになり・・・と、これらが、本能寺への伏線ですね。
天正十年(1582年)6月に
光秀が本能寺で謀反を起こす事・・・
その13日後に、
秀吉が山崎の合戦>>で、その光秀を討つ事・・・
を、知っている私たちから見れば、
なるほど・・・そう来たか~
という感じですね。
(ちなみに、サブローは歴史が苦手で、本能寺の変の事は、まったく知らない設定です)
なので、すでにドラマの終盤で、本能寺への流れが見えている感じですが、果たして映画では、その予想通りの結末となるのか?どうか・・・
それは、映画を見てのお楽しみ・・・それを確かめるためにも、ドラマのファンだった方は、その落とし所を確認しないと、ですね。
もちろん、歴史としてのツッコミどころはありますが、それこそ、時間にも役者さんの数にも限りがありますので、完全スルーで描かれなかった場面があるのも、大人の事情として理解できますし、何より、物語の中での辻褄が合ってるのでOKです。
そして、ウレシイのは、「ここのところはテレビドラマでは派手なのはムリなんだろうなぁ」と思える軍団による戦闘シーンが、ちゃんと描かれているところ・・・
ドラマでは、いまどきの高校生で、刀の扱いも不得手だった小栗サブロー君が、映画ではかなりの戦闘シーンを見せてくれてます。
ドラマの最後である浅井家の滅亡から、映画の始まりである安土城完成までは約3年間・・・そこから本能寺までは約6年間・・・
思えば、タイムスリップした高校生から、「にんげんごじゅうね~ん」の本能寺までの年月=約30年が経っているわけですから、サブロー君も成長したという事でしょう。
あと、ドラマでは、サブローと家臣たちのやりとりや、奥さん帰蝶との掛け合いで笑わせてくれるシーンがふんだんにありましたが、映画では最初のあたりだけで、あとは、どちらかというと真剣なノリでの話が進みます。
また、武田滅亡>>が完全スルーなので、個人的には、この武田とのアレコレを中心に、毛利とのドンパチも描きつつのドラマを、もう1クールやってから、映画での本能寺でも良かったんじゃないか?と思ったりもするのですが・・・
ただ、武田は無かったけれど、一方では、石山本願寺との天王寺合戦>>や松永久秀(まつながひさひで)との信貴山城の戦い>>というあまり、ドラマや映画ではお目にかかれないシーンが出て来たのは良かったです。
特に天王寺合戦は、この戦いでのサブローの動きっぷりが、この後のある事のキーポイントとなるので、イイ感じで描かれていましたね。
ティーパーティがウエディングだったり・・・
「敵は本能寺にあり!」と叫ぶのが光秀じゃなかったり・・・
なのに、物語の中では、ちゃんと辻褄が合って成立しているのがオモシロイ・・・
山田孝之=秀吉君の恨み爆発の演技も良かったしね
とにかく、もともと月9のドラマも好きだった私の中では充分満足できました~
ただ、最後の最後がなぁ~
いや、見てるお客さんに対し、その後の事も伝えなけらばならないので、来たばかりのウイリアム・アダムス(三浦按針)君が、太陽電池のスンゴイ充電器を持っていたと仮定して、アレはアレで良いのかも知れないけれど、私個人としては・・・
「サブローと松永久秀と、さらにアダムス君までもがナニするなら、帰蝶ちゃんがナニしても良かったんとちゃうん?
てか、そうしてあげて欲しかったワ」
と思うのですが、造り手さんの中では、「往復はあっても片道切符は発行しない」って決まり的な物があったのかも知れませんね。
(ちなみに、史実としてのウィリアム・アダムスが漂着する>>のは慶長五年(1600年)=関ヶ原の直前の事なので信長どころか秀吉も死んだ後ですが…オモシロイので許すww)
んん?って事は、ドラマの序盤に死んだ斉藤道三もナニしてるのか?
という疑問を残しつつも、個人的には見て良かった映画だと思いました。
追記:ネタバレしないために、アレがナニが、という曖昧な表現が多くなってしまった事をお詫びしますm(_ _)m
.
固定リンク
| コメント (8)
| トラックバック (0)
最近のコメント